そろそろ社歴10年目になる中堅社員です。
今回は、私の現場で実践している問題を整理する際に使っている「課題分析」をご紹介させていただきます。
閲覧いただいたみなさまにとって、日々発生する様々な問題に対しての解決のヒントになれば幸いです。
お仕事紹介
①問題をヒアリングし、②解決策を検討し、③それを解決するためのコストを見積もり、④システムを設計する。
というお仕事をしています。一般的に言えばITディレクターですね。
課題分析をする背景
お客様から問題のヒアリングをするにあたり、実際にシステムを使っている現場のユーザーさんから聞く声は、「○○が検索できなくて困る」だったり、「○○をまとめて処理できるようにしたい」といった、表面的な困っていることだったり、直接的なやりたいことだったりするケースが多く、やりたいことは明確でもそれをやらないことで、誰がどう困って、事業としてのどれくらいリスクがあるのか、までは把握できないケースが多々あります。
一方で、システム投資を判断する経営層の方々は、このコストかけることで、誰がどのようにうれしくて、それが事業としてどれくらいの価値があるのか、また、いつまでにやるべきかを判断する立場にあります。
この立場によるギャップを解消するための施策のひとつとして、私の現場では、「課題分析」という工程を導入しました。
課題分析という工程
「そもそもこの問題は、事業として解決すべき課題であり、解決策を検討すべきである」
という判断をする工程になります。
この課題分析のメリットは、下記になります。
- 課題が見える化し、誰とでも課題のすり合せができる
- 課題の抜け漏れが見えやすく、部分最適でなく全体最適な解決策の検討ができる
- 不要な解決策の検討をしなくて済む
- 課題分析結果が残り、ナレッジの蓄積ができる
と、素晴らしいことだらけですね。
そうです、素晴らしいのです。
ただし、注意点として、あくまで人が実施することですので、必ず完璧な課題分析ができるものではありません。
完璧な課題分析をすることが目的ではなく、関係者間で正しく課題を合意できるという点が最大の価値になります。
課題分析のやり方
やり方は、極めてシンプルでたった下記5つの手順のみです。
- 解決したいテーマ(ありたい姿)を設定する
- テーマに対して、問題(望ましくない事象)を洗い出す
- 発生している問題を原因→結果の矢印でつなげ、原因を発生させている原因が他にないかを洗い出す
- 全体を見渡し抜け漏れがないかを確認する(個人で実施後、関係者間で実施)
- 中核となっている問題を特定し、解決すべき課題として設定し、関係者間で合意する
実際に頭の回転が速いと言われる人は、上記プロセスを頭の中でアッとゆーまに整理して、「これが課題だ!」と瞬時に回答できたりします。逆に周りがついていけてないケースも度々みかけます(笑)
ただ、これは繰り返し練習することで、誰にでもできるようになります。
自分もどちらかと言えば、ついていけない方でしたが、繰り返し実践することで、現在進行中で上達していると感じています。
実際にやってみよう
「なんとなく書いてあることはわかるけど、本当に使えるの?簡単にできるの??」 や
「こんなことわかってるよ、当たり前のことじゃないか」
と感じた方も多いと思います。
しかし、安心してください!誰にでもできるんです!!
そして使いこなせば、とても強力なツールになるんです。
というわけで、みなさまにも体験してもらうために、簡単なケーススタディをご用意しました。
一緒に順を追って課題分析をやってみましょう。Let’s 課題分析 !!
1.解決したいテーマ(ありたい姿)を設定する
2.テーマに対して、問題(望ましくない事象)を洗い出す
こんな感じです。念ため言っておきますが、私個人とは一切関係はないテーマです。
3.発生している問題を原因→結果の矢印でつなげ、原因を発生させている原因が他にないかを洗い出す。
上記のような関係になりました。「異性との会話が苦手」は、「女性からもてない」原因にもなっており、かつ「彼女がいない」原因にもなっていると捉え、2本の矢印がでます。このように複数の矢印がでることもあります。
さらに各問題に対して原因となっている事象がないかを考えます。
新たに問題が追加され、ツリー全体が大きくなってきました。
4.全体を見渡し抜け漏れがないかを確認する(個人で実施後、関係者間で実施)
チーム内で実施し、その後、お客様とすりあわせるというような形で進めます。
今回の例題でやってみた結果、こんなツリーになりました。
あくまで私個人とは関係ありません。
今回はイメージを掴むためのケーススタディという目的からシンプルな分析結果になっていますが、
チーム内や関係者間で実施する場合は、個々の問題を下記の観点で妥当性のチェックをすると効果的です。
1)明瞭性(わかりやすいか)
2)項目の存在(項目の内容が事実か)
3)因果関係(Aが原因でBが起きているか)
4)原因不十分(AのみあればBになるのか)
5)別の原因(別の原因でBが起こることはないか)
6)因果が逆さま(AとBが逆になっていないか)
7)予想される結果の存在(Aが原因でB以外は起きないか)
5.中核となっている問題を特定し、解決すべき課題として設定し、関係者間で合意する
中核問題とは、テーマ(ありたい姿)に対して根本的な課題となっているものです。
大切なのは、「これが根本課題ですね」と誰が見ても納得できる結果になっていることです。
今回のケースでは、「不潔そうに見える」という問題を中核問題としました。
「不潔そう見える」ことのみが原因で「職場での会話が少ない」ことに影響を与えているのであれば、「不潔そう見える」を改善することで、一気に複数の問題が解決するのが明らかですよね。
逆に捉えるならば、「職場での会話が少ない」原因が他にないかを確認する「4」の手順が重要ということです。
誰もが納得できる根本課題が特定できたら、「課題分析」工程は完了です。
そして、上記のツリーを「現状分析ツリー」と呼びます。
課題分析が終わったら
解決策を打つことで、現状のツリーがどう変化するか(仮説立て)を検証します。
「課題分析ツリー」から「未来実現ツリー」を描くことになります。このやり方は、また別の機会に。
最初は時間がかかると思いますが、チームで習慣化して当たり前にしてしまえば、これほど効果的なものはありません。
是非、みなさまの現場でも実践してみてはいかがでしょうか?
まとめ
- 現場では、日々様々な問題が発生している
- その中でコストは有限で、最適な投資判断に迫られている
- 課題を見える化するためのやり方のとして「課題分析」を紹介
- 「課題分析」は誰にでもできる、習慣化して使いこなすことが大切
ということです。
実際我々が直面している日々の問題は複雑で様々な要素が絡み合っていることが多々あります。
ですが、突き詰めると問題の根本課題はシンプルであることが往々にしてあります。
木だけでなく、森全体を見る視点で問題を捉え、効果的に解決することで、お客様に貢献していければと思います。